「歯周病がお口だけの病気だと思っていませんか?」
実は近年、
👉 お口の健康と全身の健康
の関係が注目されています。
その中でも特に重要なのが
👉 感染性心内膜炎
です。
あまり聞き慣れない病気かもしれませんが、重症化すると命に関わることもあります。
そして実は、
👉 お口の細菌が原因になることがある
ことがわかっています。
今回は、
・感染性心内膜炎とは?
・なぜお口の細菌が心臓に届くの?
・歯周病との関係は?
・どんな人が注意した方がいい?
について歯医者がやさしく解説します。
感染性心内膜炎とは?
感染性心内膜炎とは、
心臓の内側にある
👉 心内膜
や
👉 心臓弁
に細菌が付着して炎症を起こす病気です。
細菌が塊(疣贅:ゆうぜい)を作り、
心臓の働きを悪くしたり、
全身へ飛んで重い合併症を起こしたりします。
重症化すると
・心不全
・脳梗塞
・敗血症
などにつながることもあります。
なぜお口の細菌が心臓まで届くの?
「口の中の細菌が心臓まで行くなんて本当?」
と思われるかもしれません。
実は歯ぐきには多くの毛細血管があります。
歯周病になると、
歯ぐきに炎症が起こり、
出血しやすい状態になります。
その時に、
👉 歯周病菌や口腔内細菌が血管内へ侵入
することがあります。
これを
👉 菌血症
と呼びます。
菌血症自体は一時的なことも多いですが、
心臓に病気を持つ方では、
細菌が心臓弁などに付着しやすくなります。
実は歯磨きでも菌血症は起こる
驚かれる方もいますが、
菌血症は抜歯だけで起こるわけではありません。
研究では、
・歯磨き
・フロス
・食事
などの日常生活でも起こることが報告されています。
しかし、
健康な歯ぐきでは細菌の侵入は少なく、
体の免疫によって速やかに排除されます。
問題になるのは
👉 重度の歯周病がある場合
です。
歯ぐきからの出血が多いほど、
細菌が血流へ入り込みやすくなります。
歯周病は感染性心内膜炎のリスクを高める?
現在の研究では、
歯周病そのものが感染性心内膜炎の直接原因と断定されているわけではありません。
しかし、
感染性心内膜炎患者から
👉 歯周病関連細菌
が検出されることがあります。
代表的なものとして
・Viridans streptococci(口腔レンサ球菌)
・Aggregatibacter属細菌
などがあります。
そのため、
良好な口腔衛生状態を保つことが、
感染性心内膜炎予防の一助になると考えられています。
特に注意が必要な人は?
感染性心内膜炎は誰にでも起こる可能性があります。
しかし特に注意が必要なのは、
心臓弁膜症がある方
人工弁が入っている方
先天性心疾患がある方
過去に感染性心内膜炎になったことがある方
です。
これらの方は、
一般の方よりリスクが高いとされています。
抜歯前に抗菌薬を飲むことがあるの?
感染性心内膜炎のハイリスク患者さんでは、
抜歯など出血を伴う歯科治療前に
👉 予防的抗菌薬投与
が行われることがあります。
これは
日本循環器学会や海外ガイドラインでも推奨されています。
ただし、
すべての患者さんに必要なわけではありません。
対象となる方は限られています。
そのため、
心臓病の既往がある方は必ず歯科医師へ伝えましょう。
感染性心内膜炎を防ぐためにできること
実は最も大切なのは、
特別なことではありません。
毎日の丁寧な歯磨き
フロスや歯間ブラシ
定期的な歯科検診
歯周病の早期治療
です。
近年は、
「抜歯のリスク」よりも
👉 日常的な歯周病による慢性的な菌血症
の方が問題になる可能性が指摘されています。
つまり、
お口を清潔に保つこと自体が予防につながるのです。
歯科医師が気を付けていること
歯科医院では、
問診時に
・心臓病の有無
・人工弁の有無
・先天性心疾患
・服薬内容
などを確認しています。
これは安全に治療を行うためだけでなく、
感染性心内膜炎のリスクを評価するためでもあります。
お薬手帳がある方は持参すると安心です。
まとめ
感染性心内膜炎は、
心臓の内側や弁に細菌が感染する病気です。
その原因となる細菌の一部は、
実はお口の中に存在しています。
特に歯周病が進行すると、
細菌が血流へ入り込みやすくなります。
だからこそ、
・歯磨き
・歯周病予防
・定期検診
が、お口だけでなく全身の健康を守ることにつながります。
お口と心臓は遠く離れているように見えますが、
血管を通じてしっかりつながっているのです。
ひとこと
歯ぐきからの出血は、「ただの歯周病」と思われがちです。
しかし、その小さな炎症が全身の健康と関わっていることもあります。
毎日の歯磨きや定期的な歯科受診は、歯を守るためだけのものではありません。
未来の自分の健康を守るためにも、お口からのサインを大切にしていきたいですね😌
お口の健康は、全身の健康への第一歩です🦷✨
参考文献・参考資料
- 日本循環器学会『感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2023年改訂版)』
- 日本歯周病学会『歯周病と全身の健康』
- 日本口腔外科学会 編『標準口腔外科学 第5版』医学書院
- Wilson W, Taubert KA, Gewitz M, et al. Prevention of Infective Endocarditis. Circulation. 2007.
- Lockhart PB, Brennan MT, Sasser HC, et al. Bacteremia Associated with Toothbrushing and Dental Extraction. Circulation. 2008.
- Habib G, Lancellotti P, Antunes MJ, et al. ESC Guidelines for the Management of Infective Endocarditis. European Heart Journal. 2023.
- Little JW, Falace DA, Miller CS, Rhodus NL. Dental Management of the Medically Compromised Patient. 9th Edition. Elsevier.
- American Heart Association (AHA). Infective Endocarditis Information for Healthcare Professionals.
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病と全身疾患」

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